20代の頃、焼肉レストランのホールを遅番で入っていたある日。
その日は、予想以上に団体客や宴会客が来店した大入りの週末でした。
お客さんの追加オーダーで呼ばれる忙しい日は、決まって厨房もてんやわんや。
メニューに書かれた品が仕込んだ以上に出るため、厨房では注文を受けた品を出しながらの仕込みです。
そんな時、事件が。
2,3日前に入ったバイト君が、炊飯器をセットして炊く工程を忘れたのです。
新人ならではの、厨房のピリピリした雰囲気にのまれたのでしょう。
うっかりミスです。
お店のライスが間に合わなそうと気付いたときは、次の美味しいライスが出来上がるのは1時間半後。
ほぼ閉店近い時間帯です。
私はお客さんに呼ばれる度に、不安を抱きながらライスを注文されないことを祈るばかりでした。
しかし、そんな時こそ、
「ライスください!」「おかわり!」の声。
…いよいよその時が。
お店のライスが品切れとなり、お客さんからライスを注文されたのです。
「…すみません。ライスは先ほど切れてしまいまして…」
もちろんお客さんは、
「えっ⁉焼き肉屋にライスないの?」と大騒ぎです。
私はライスがないことに対するクレームを2,3件受けながら、心の中ではミスをしたバイト君を恨めしく思い、耐えるばかりでした。
すると、後ろから店長が、
「お待たせしました。ライスお持ちしました。」と、注文したお客さんに提供しはじめたのです。
「あら、ライスあったじゃない。」と、お客さんはニッコリ。
キョトンとしていた私に店長は、
「コンビニでライス買ってきたよ。」とゆとりの神対応!
帰りの会計時、お客さんの表情は満足顔に戻っていました。
サービス業の先輩である店長の対応に、スカッとする策を1つ学んだ日です。
ミスをした人にではなく、ミスをした事に目を向けることで、対応力のノウハウを学んで行こうと思った日でした。
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