葬儀の後の修羅場にスカッとする神対応をした配膳員の後ろ姿

トラブルの対応スカッと

葬儀関係の、通夜や精進落としの会食で配膳を担当しています。

殆どは穏やかに粛々とその時間が流れ、スピードは求められるものの、トラブルはあまり起こりません。

しかし時折、もともと問題を抱えた家族や友人関係の場合には雰囲気が険悪になったり、そこにお酒が入ると修羅場になることもあるのです。

とあるご一家は、喪主さまとそのご兄弟が折り合いが悪かったらしく、その葬儀の方針に関しても意見がなかなかそろわなかったようで、ぴりぴりした空気が流れていました。

通夜振る舞いの食事が終わって、ご遺族全てが退席するまでも、いくつかのグループに分かれて互いに反目しあっているような状態でした。

『明日は要注意』と言う話が斎場の担当者からされて、緊張してそのお茶出しや配膳をしていたのですが。

葬儀・告別式・火葬場への送り出しまでは緊張感があったものの、戻ってきて初七日を終え、食事の段階になって気持ちが緩んだのか、お酒が過ぎたのか、子供が怯えて泣き出すほどの騒ぎになりました。

勢い余ったのか、あるテーブルのお酒の瓶ががしゃんと薙ぎ払われてテーブル下に落下、ガラスが割れて大騒ぎとなったのです。

そこまで荒れるということは滅多にないという惨状で、それをやってしまった男性も引っ込みがつかなかったのか、さらに大声で相手を罵倒しようとしていました。

その時の配膳の責任者は50代後半のベテランのお姉さんでした。

彼女はすぐにバックヤードに走り、タオルを沢山抱えて戻り、周囲のお客様に配って『お怪我はありませんか?お召し物は大丈夫でしょうか?』と小声で聞いて回ったのです。

私と斎場のスタッフがその間にガラスを拾い集め、細かい破片も一緒に床やテーブルを拭き、数分で原状復帰を行いました。

その間にご遺族の間で騒ぎを起こした男性たちをなだめ、落ち着かせていたのですが、ベテランさんはさっと彼らに氷を入れた冷たいウーロン茶を出して、同様に『お怪我は?お召し物は…?』と対応していたのです。

その場の空気は沈静化し、穏やかなものになりました。

淡々とその場をさばいたそのお姉さんの後ろ姿はカッコよかったですし、帰りがけの喪主様からはねぎらいと感謝の意味を込めて、チップがふるまわれました。

その金額はちょっと法外なほどでしたが、仕事が認められたのだということが嬉しかったです。

いつも押しが強くて厳しいベテランさんに苦手意識をもっていましたが、この時の彼女の仕事の細やかさ、その経験に裏打ちされた的確な動きとスピードは素晴らしいものでした。

まだまだ彼女のようにはなれませんが、一緒に仕事が出来る間に、一つ一つその技を盗んで身につけて行こう、と思っています。

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