まだ結婚して地元を離れてその土地に不慣れであった私にたいして、姑は、「わからない・知らないのであれば、経験としてやってみなさい」ということが口癖でした。
いつもいつも苦笑いをしながら愛想のよい嫁を演じていましたが、あるとき、私の嫁いだ地方では、春の時期に、いかなごという小魚の漁が解禁になると、いかなごのくぎ煮という郷土料理を作るのが、一般的ではあったのですが、私は全く知らず、そういった風習も初めて知りました。
そんなとき、いつものごとく、姑が「作ったことないのであれば、あなたが作ってみたらどう?これから役に立つし、地域の食文化を知る上でも大切なことだと思うわよ」といった能書きを放言したことで、比較的冷静かつ温厚なはずの私も、とうとうブチ切れてしまって、
「だったら、お義母さんがお手本を見せてください。その手ほどきを拝見してから私も実際に挑戦したいと思いますので、ぜひ勉強させてください」と強気に出たところ、その手間隙と面倒さ、費用がかかることから、姑は黙り込んでしまいました。
そのとき、ちょっとだけ心の中で「やった!」と思ったことと同時に、小さくガッツポーズをしてしまった自分がいました。
何でもかんでも、嫁であるということで引け目に感じたり、普段から控えめにしていなければならないというのは、日本の悪しき習慣だと思います。
そういったことを撲滅していく意味でも、嫁は今のご時世、姑に対して強気に出なければならないと思いました。
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