これは私が大学生の時の話です。
毎週末、私は駅前にあるそこそこ人気の海鮮系居酒屋でアルバイトをしていました。
そのお店は店員のほとんどが、アルバイトで、社員と呼べる人は店長のほかには、一人だけしかいませんでした。
そしてその社員さんというのも、数カ月単位でコロコロと異動して変わっていました。
また、アルバイトの定着率も悪く、バックレも日常茶飯事でした。
なぜそんなことになっているかというと、店長のいびりが原因でした。
料理を配膳するテーブルを間違えたり、テーブルの片づけがほんの少し遅れただけで店長の罵声が店内に響き渡ります。
「なんでそんなミスしてるの?」
「時給払ってるんだから、1秒たりとも気を抜かないで」
「今私が怒っているこの時間もお金払ってるんだからね?」
これが店長の説教の際の定番のフレーズでした。
この説教タイムが始まる度に、店員は皆意気消沈し、店内の雰囲気は悪くなり、お客様の気分までも害していました。
そんなある日、新人のアルバイト君が焼酎をお客様のテーブルに置こうとしたとき、手が滑ってその焼酎をお客様の服にこぼしてしまいました。
すると、まってましたといわんばかりの勢いで店長が駆け寄ってきて、第一声が
「あんたなんてことしてんの!?」でした。
この声は恐らく店外にも響くほど大きかったと思います。
その後新人君はひたすら店長とお客様に謝り続け、10分ほどが経過しました。
しかし、店長の説教はまだ終わりそうもありません。
そんな様子を見かねて、お客様が言いました。
「この店は本当に接客がなってないな」
「申し訳ございません、うちの新人が…」
「いや、店長さんあんたのことだよ、私はこの店に何回か来てるけどあんた怒りすぎじゃないか?はっきり言ってあんたのその説教を聞いてると飯がまずくなる、今後も同じような接客しかできないようなら2度とこの店には来ないよ」
そういってその方は店長を睨みつけました。
その方の顔にどこか見覚えがあるなーと思ったら、その方は年末になると毎年宴会を予約してくださっている、大口のお客様ご一行でした。
絶句した店長は、目を丸めてそのお客様を眺めているしかできません。
「味はいいんだから、頼んだよ」それだけ言ってお客様はお会計を済ませ、退店していきました。
以上、威張り散らす居酒屋店長にお客様がしたスカッとする話でした。
ちなみに、この事件以降店長が内にて説教をすることはなくなりました。
たまに厨房で説教をしているところも見かけますが、以前ほどの理不尽さはなくなっているように思えます。
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