食品や化粧品も扱うドラッグストアには、日々多くのお客様が訪れ、クレームを受けることも決して少なくありません。
大抵はお店やスタッフを思ってのクレームですが、問題のお客様はいちゃもんをつけることを趣味にしているような人でした。
店舗に訪れると、体を前のめりにしてクレームのネタを探して練り歩く。
スタッフが品出しや発注業務に専念するあまり問題のお客様に気づかなければ、
「なぜ手を止めて、体を客のほうに向けて挨拶をしないのか」とその場でお説教。
スタッフの顔を覚えているので、休憩中に私服で店内を歩いていても、問題のお客様に見つかれば、挨拶がなかったことについてお説教を受けます。
問題のお客様を接客しようとするとスタッフが萎縮してしまい、普段なら間違えないミスを連発し、更なるクレームを呼んでしまうという悪循環。
商品がうっかり品切れでもしていたら、その点についても怒られ、あなたはエリアマネージャーなのか、とツッコミを入れたくなるような熱心な働きぶりです。
週に一度の頻度で来店するので、スタッフは皆、辟易していました。
毎度のことながらお説教を受けていたあるとき、店長が現れ
「スタッフの教育は私の仕事です。
もしご意見があればスタッフではなくこの私に直接言ってください」と言いました。
いつもは女性を狙ってクレームをつけていたので、男性から、しかも店長という肩書きを持つ相手から思わぬ反撃をくらい驚いたのかもしれません。
それ以来、問題のお客様はパッタリ姿を見せなくなりました。
反撃できない相手ばかりを狙うクレーマーには憤りを覚えましたが、すごすごと帰っていくお客様を見てスカッとしました。
思い切って行動を起こしてくれた店長には感謝しかありません。
ただ、そういった店長ほど仕事ができて異動命令がすぐに出ちゃうんですけどね……。
問題のお客様は別のチェーン店にも現れていたそうですが、気弱な店長がいるお店はこれまで通り餌食になっていました。
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