登場人物(年齢は当時)
- 俺:11歳
- 妹:7歳
- 親父:31歳
- 母さん:29歳
- S(母さんの浮気相手):3?歳(親父よりは上のはず)
- Sの息子:12歳
- Sの娘:10歳
- Sの奥さん:??歳
- 父の祖父:57歳
- 父の祖母:57歳
- M(俺の友人):11歳
俺が生まれた時、親父は20歳、母さんは18歳だった。
学生結婚、つまり『デキ婚』である。
親父は、『自分のした事には責任を取る』と言って、大学を中退しようとして仕事先まで決めていたが、祖父が『大学は卒業しろ』と大反対して、親父は大学を卒業して証券会社に入社した。
祖父は、自分の父が病気になった都合で高校を1年で中退して家業を継いだ過去を持っているので、当時の自分と照らし合わせたのだと思う。
母さんは、高校を中退して、しばらく俺を育てて、通信制の高校で高卒を取り直し、准看護婦の資格まで取った。
時は流れ、親父が名古屋から浜松に転勤になった時に妹が生まれる。
その後、親父が証券会社を退社し浜松から地元に戻る事になった。
その頃までは、どこにでもある普通の家庭だと俺は思っていた。
それが変わりだしたのは、母さんが車の免許を取得しようとした頃。
急に知らないおじさんと、おじさんの子供2人と顔を合わせる機会が増えてきた。
2週間に1回くらいは、近くにある人工温泉に行っていた。
子供同士は仲良くなり、ゲームを貸しあったりする仲になる。
当時の俺達は『新しい友達が増えた!』くらいにしか思ってなかった。
しかし、その偽りの友情は大人の勝手な都合で結ばれ、勝手な都合で崩壊した。
母さんが急に石川県に温泉旅行に行こうと言いだす。
当然、親父と母さんと俺と妹の4人だと思っていた。
……しかし、土曜日の学校の日で俺達が乗り込んだ車は『おじさん』の車だった。
そして、旅行の間は『パパ』と呼ぶようにと強く言われた。
親父がいないなんて嫌だと思って逃げたかったけど、車は既に東名高速道路に乗っていて、子供の俺にはどうする事も出来なかった。
だが、旅行中、俺は1度もパパとは呼ばなかった。
極め付けは、母さんが『引っ越しをするよ』と言って、一軒家が既にあったのにも関わらず、俺と妹を連れて、同じ市内のアパートに引っ越しをした。
もちろん、『おじさん(S)』と一緒に……。
何故か家に帰れない、祖父母の家にも行けない。
学校は転校しなかったけど、周囲からは不思議な目で見られる。
……俺も不思議だった。
当時は最新だったプレステ等をエサに、俺はSと母さんと妹の4人暮らしを始めてしまう。
俺はもう11歳だったから、1人部屋を与えられたが、妹は幼かったからSと母と一緒に寝ていた。
知りたくも無い事だったが、妹はSと母さんがやっている所を憶えているらしい。
更に、いってらっしゃいのキスを強要させられていたとか……。
だが、小学校を転校させなかったのは、Sと母さんの大失敗だったと思う。
俺が友人を、そのアパートに頻繁に招くようになったのだ。
親父は、俺が友人を家に招くと良い顔をしないのを知っていたので、それが出来なかったが、親父がいないこの空間なら誰も文句は言うまいと。
友人のMを連れてきて、偶然にもSと母さんに遭遇した。
その時Mはこう言った『お二人はどういう関係なんですか?』と。(Mの両親は当時既に離婚している。更にMは俺の親父の顔を知っている)
俺は自分の無知を恥じてMに聞いた。
『俺は、今どうなっているんだ?』と。
そしたら、間髪置かずにMは答えた『お前は不倫に巻き込まれている』と。
俺は、自分が許せなくなった。
目の前にあった、プレイステーションと多数のゲーム。
たったこれだけのエサで、半年間も屈辱的な日々を過ごさせられていたのかと。
こんな所には1秒もいたくない。
だが、気がかりな事がある。
それは、妹の事だ。
俺が1人で家に帰ったとしても、妹を盾にされたら、俺は戻るしか選択肢が無いと当時は考えていた。(今思うと、そんな事は無いが)
妹はまだ幼い、Sの事を既に『パパ』と呼び始めている。
これ以上、妹とSを一緒にいさせたら、親父が親父じゃなくなってしまう。
Sは自動車教習所勤務、母さんは看護婦。
つまり、共働きで家に俺達兄妹しかいない時間が僅かだがある!Mに感謝の言葉を伝えて、俺はすぐに行動に出た。
妹に『今すぐ荷物をまとめて家に帰るぞ!』と。
プレイステーションもゲームも惜しくない。
だが、同じ血の通った妹を置いて1人で逃げ出す事は出来ない。
妹は『家に帰れるの?』と言いたいような表情をしていたが、素直に言う事を聞いてくれた。
しかし、俺達は家のカギを持っていない。
だが、その辺りはもう1つの幸運によって解決される。
親父の実家が、家の近くにあるのだ。
俺達はまず、そこに逃げ込んだ。
当然、祖父母は俺達の味方だ、全力で俺達の身柄を守ってくれた。
祖母は『お兄ちゃん、良く決めてくれたね!』と褒めてくれた。
祖父も『流石、わしの孫だ!』と。
俺は内心『やめてくれよ、俺は自分が情けないよ』っと思っていたが……。
車に乗り、鍵も渡され、俺達の家へ。
今思うと、当時親権は母さんにあった為、祖父母も手が出せなかったのだと思う。
Sと母さんは焦った事だろう。
……帰ったら、鍵は空いてるわ、俺達はいないわで。
だが、行き先が分かっても、そこに行く事は出来ない。
何故なら、俺が恥を忍んで、電話番号を知っている親族全てに電話をかけて守ってくれるように頼んだからだ。
鉄壁のガードの前に、母さんは親権を手放さざるを得なかった。
もし、別の市に引っ越しとかをしていたら、今頃俺の苗字は違っていたはずだ。
環境を変えるのが可哀想と思っての行動だとしたら、その甘さが裏目に出たな。
だが、母さんは家の鍵を持っている。
……隙を突いてくる可能性はかなり大きい。
親父が夜勤の日、案の定母さんが家にやってきた。
寝室で一緒に寝たいとか言っていたが、身柄を取り戻しに来たのは間違いない。
しかし、不思議な事に気付いた。
Sがいない。
俺が『おじさんは?』って言ったら、母さんは『おじさんの事はもう忘れて』と言う。
……どうやら、2人の浮気関係は捻じれたらしい。
何があったかまでは知らないが、恐らく親権絡みだろう。
母さんさえ手に入れば良いSと、俺達と一緒にいたい母さん、上手くいくはずがない。(少なくとも、Sにとって俺は不要な存在)
2階の寝室で一緒に寝る3人。
しかし、その時玄関のドアを開く音が聞こえた!足音で母さんは察した『嘘でしょ!?』っと。
そう、家に上がってきたのは親父ではなく、母さんの持っていた家の鍵を勝手に複製したSだった。
当時は子供が携帯電話なんて持てる時代ではなく、完全に退路を断たれた俺達3人。
Sは『ゲームを買ってあげるよ』とか『一緒に遊ぼうよ』とか言っていたが、母さんは『何も言っちゃダメ』と小さな声で強く言った。
母さんも頼れる相手が存在せず、いないふりをするしかなかった。
……3時間くらい経っただろうか、Sは諦めて帰っていった。
この一件を、俺はすぐに親父と祖父母にリークした。
その結果、俺と妹は完全に親父の下で暮らす事が決定した。
……だが、母さんに居場所は無く、市内の別の場所で暮らす事になった。
中学に上がり、色んな知識を身に付けるようになった俺は、Sと母さんを恨んでいた。
離婚はしたが、接触禁止等の制約は無かったので、稀にだが母さんは俺達に会いに来た。
……だけど、俺から浴びせられる辛辣な言葉の数々に、母さんは失意のどん底に落ちてしまった。
親父は俺を呼び出し『母さんをいじめるな、俺も悪かったんだ』と言っていたが、そう簡単に浮気相手と半年も同居させられた俺の恨みは消えなかった。
何よりも、幼い妹の心にキズを与えた事は絶対に許せない。
どうしても、Sの身を破滅させずにはいられない。
そのままでも、もう一生関わる事も無いだろうが、あの性根の腐ったヤツの事だ、自動車教習所で新しい獲物を舌なめずりして待ち構えているに決まってる。
ならば、俺に出来る事は……Sを徹底的に追い込む事だ!!中2の時、俺は既に携帯電話を持っていた。
付近にある自動車教習所は3ヶ所。
詳しい勤務先までは知らなかったが、あっけなく勤務先は明らかになった。
俺は電話で、赤裸々に浮気の実態を話した。
そして、とどめの一言。
『そちらの教習所にいるSは、今頃新しい獲物を探しているはずですよ。うちの家庭を壊した罪をどうやって償ってくれるんですか?』……この事を、親父は知らない。
……後日、家の電話に出た俺。
相手は、Sの元奥さんだった。
『あのバカは、職を失い、両親からも勘当されて家を追い出された。私と息子と娘は、あなたを恨んでいませんよ』と。
俺の復讐は終わった。
そして、母さんを憎む理由も無くなった。
後日、母さんが再び家に来た時、俺は今までの非礼を詫びた。
ここからは、俺の憶測も入るが、恐らく正式な離婚の際に決めた事はこうなったと思う。
『慰謝料を要求しない代わりに、親権は親父が持つ』と。
実際、あの後親父の羽振りが良くなったなんて話は聞いた事が無いから、これが大外れではないと思う。
その後、Sとは1度も会っていない。
……恐らくだが、遠く離れた場所で同じ仕事をする事を選んだのだろう。
まぁ、会わなかったのは、俺にとって幸運だ。
恨みのあまり、ぶん殴って障害沙汰にならずに済んだのだから。
妹はPTSDを抱えてしまって、中学の時に不登校になってしまったが、今は良い人が見つかり結婚もして、主婦をしている。
まぁ、その旦那さんとは、実は俺の方が先に会っているのだが、それはまた今度話そう。
旦那さんがマスオさんして、我が家で一緒に暮らしている。
今、妹は同人のイラストレーターとして、そこそこの収入を得ているらしい。
家事も出来るし、高卒の俺なんかよりよっぽど優秀だ。
不出来な兄だったかもしれないけど、Sの娘にさせる事を阻止出来た事は俺のちょっとした自慢出来る話の1つである。
……まぁ、残念だけど本人や親父を前にしては言えないけどね。
そして時は流れ、母さんは40過ぎて子供が産めない年齢になったにも関わらず、自分を愛してくれる男と再婚。
これには、俺も反対は全くしなかった。
むしろ、賛成と言っても良い立場である。
今は名古屋で、再び看護婦として働いているそうだ。
しかも、正看護婦になって、通信制の大学まで卒業したとか……。
親父は男手一つで俺達を育て上げたが、最近になって良い人が見つかった。
同じバツイチで、相手には娘さんがいる。
今年高校に上がったんだけど、もう可愛くて可愛くて。
俺は『会わせろ会わせろ』って言ってるんだけど、なかなか機会が無くてね。
まぁ、今は東京に引っ越してしまったから、もっと会えないんだけど、夏休みに遊びに来てくれるらしい。
その時、東京を案内するのが凄く楽しみだ。
渋谷が良いかな?原宿が良いかな?紆余曲折あったけど、妹は結婚して幸せになったし。
Sは、どこか遠い場所に逃亡した。
……俺にとって、不満に思う事は何1つ無い。
Mには感謝してもしきれない。
まぁ、お調子者だったが故に発した一言だったんだけどね。
最後に会ったのは23の時だから、もし機会があったら酒でも奢らせてもらおう。
それじゃ、最後に一言。
不倫なんて絶対するな!他の相手と恋愛するなら離婚してからしろ!!不幸になるのは、巻き込まれた人達なんだぞ!!というわけで、俺の武勇伝とは言いきれないかもしれないけど。
ちょっとした昔話を聞いてもらいました。
以上です。
昨日作った文章だから、おかしな所があったら申し訳ない。
ネットの反応
長い上にsとかmとかわかりにくい佐藤とか増田とか仮名つけてくれると良いのに
おかしな所というか、言い回しとかが変で下手な小説を読んでる感じしかしない体験談なら下手に文章を考えずにもっと素直な感じで書いてくれたほうが読みやすい
誰か三行で
母親が不倫
母親に親権とられそうになったけどゆーすけが頑張ったから父親に親権
不倫だと気づかせてくれた友人に乾杯
投稿主さん、面白かったよ。
よい話をありがとう。
>>788
とか設定のつめが甘いよね
コメント